大震災の被害と教訓
 平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では6,400人を超える方が犠牲となり、約26万棟の家屋が全壊・半壊しました。また、亡くなられた方の8割弱が建築物の倒壊等による圧迫死や窒息死であったことが報告されています。
 建築物の被害の傾向をみると現行の耐震基準(昭和56年6月施行)以前に建築された建築物に被害が多く見られ、一方、それ以降に建築された比較的新しい建築物の被害の程度は軽く、現行の耐震基準は概ね妥当であると考えられています。(建設省の建築震災調査委員会中間報告〈平成7年7月28日〉による。)
 こうした被害状況を踏まえ、積極的に耐震診断を行い、専門家のアドバイスを受けながら必要に応じて耐震改修を行って地震に強い建築物にすることが大切な人命や財産を守ることになり、ひいてはまちの安全につながります。
 このため、平成7年12月25日に「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」が施行されました。

所有者の努力義務
 この法律は、地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、建築物の耐震改修の促進のための措置を講ずることにより建築物の地震に対する安全性の向上を図り、もって公共の福祉の確保に資することを目的としています。
 特定建築物の所有者は、建築物が現行の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するよう耐震診断や改修に努めることが求められています。
 特定建築物とは現行の耐震基準に適合しない建築物(一般に昭和56年5月以前に建築確認を受けたもの)のうち、下表のとおり用途に応じた規模要件以上の建築物をいいます。
メニュー1 特定建築物の規模要件 指示対象となる特定建築物の規模要件
学校 小学校、中学校、中等教育学校の前期課程、盲学校、聾学校若しくは養護学校 階数2以上かつ1,000u以上 * 屋内運動場の面積を含む 1,500u以上 * 屋内運動場の面積を含む
上記以外の学校 階数3以上かつ1,000u以上
体育館(一般公共の用に供されるもの) 階数1以上かつ1,000u以上 2,000u以上
ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する運動施設 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
病院、診療所 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
劇場、観覧場、映画館、演芸場 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
集会場、公会堂 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
展示場 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
卸売市場 階数3以上かつ1,000u以上
百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
ホテル、旅館 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
賃貸住宅(共同住宅に限る。)寄宿舎、下宿 階数3以上かつ1,000u以上
事務所 階数3以上かつ1,000u以上
老人ホーム、老人短期入所施設、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの 階数2以上かつ1,000u以上 2,000u以上
老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他これらに類するもの 階数2以上かつ1,000u以上 2,000u以上
幼稚園、保育所 階数2以上かつ500u以上 750u以上
博物館、美術館、図書館 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
遊技場 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
公衆浴場 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類するもの 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その他これに類するサービス業を営む店舗 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
工場(危険物の貯蔵又は処理場の用途に供する建築物を除く。) 階数3以上かつ1,000u以上
車両の停車場、船舶・航空券の発着場を構成する建築物で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
自動車車庫その他の自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
郵便局、保健所、税務署その他これらに類する公益上必要な建築物 階数3以上かつ1,000u以上 2,000u以上
危険物の貯蔵又は処理場の用途に供する建築物 政令で定める数量以上の危険物を貯蔵、処理する全ての建築物 500u以上
地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがあり、その敷地が都道府県耐震改修促進計画に記載された道路に接する建築物 全ての建築物
●所管行政庁とは、建築主事を置く市町村の区域においては当該市長村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいいます。具体的に大阪府下では大阪市、豊中市、堺市、東大阪市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、八尾市、寝屋川市、茨木市、岸和田市、箕面市、門真市、池田市、和泉市、羽曳野市の各市長及び、大阪府知事です。
●この法律では、所管行政庁は、特定建築物の所有者に対し、必要な指導・助言をすることができると規定されています。また、特定建築物の中でも不特定多数の人が利用する建築物のうちある一定規模以上のものについては、必要な指示をすることができると定められています。

耐震改修計画の認定を受けることができます
 建築物の耐震改修を行おうとする方は耐震改修計画について所管行政庁に認定を申請することができます。
 所管行政庁は、耐震改修計画の内容が耐震改修促進法の基準に適合しているかを審査し、認定を行います。
 認定を受けると、次のようなメリットがあります。
改修計画の認定を受けたときのメリット
1 建築確認等の手続きの特例
 建築確認が必要な工事であっても、確認申請手続きが不要となります。
2 建築基準法の特例
 耐震規定以外の不適格事項の存続がやむを得ないと認められる場合の既存不適格建築物の制限や耐火建築物に係る制限が緩和されます。
3 住宅金融支援機構の貸付けの特例
 計画の認定を受けて住宅の耐震改修を行う者に対する住宅金融支援機構の低利融資が受けられます。